働き方

【保育士さん向け】保護者のクレーム対処法|クレーム例も紹介

保護者のクレーム対処法とクレーム例

保育士の仕事は子どもと接することがメインではありますが、それだけではありません。保護者の対応も重要なお仕事の一つです。保護者とのコミュニケーションは非常に大切ですが、その中でできれば避けて通りたいと思ってしまうのが「保護者からのクレーム」です。

保育士の方の中には保護者からのクレームで仕事を辞めたいと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?近年はクレームも理不尽な要求のものが増えたと言われていますが、保育園や保育士側が全く悪くないとも言いきれず、対応の仕方を少し誤ってしまい、それが原因で大きなトラブルへと発展する場合があります。

この記事では保育園でどのようなトラブルが起こりやすいのかをご紹介すると共に、対応する際の大切なポイントをお伝えいたします。ぜひ参考にしてくださいね。

保育士さんが保護者から受けるクレームの例

保護者からのクレームには様々なものがありますが、クレームの種類は大きく分けると4種類に分類することができます。

  1. 子どもの事故や怪我へのクレーム
  2. 子ども同士でのトラブルに対するクレーム
  3. 行事やイベント、保育園生活に対するクレーム
  4. 保育士の姿勢や態度、指導に対するクレーム

種類ごとに細かくクレームの内容を確認していきましょう。

子どもの事故や怪我へのクレーム

子どもの事故や怪我のクレームは、保育園に対するクレームで一番多いと言っても過言ではありません。

・子どもが怪我をしたことに対して、未然に防げなかったことを怒ってくる
・子どもが怪我をした見舞金や治療費などを請求してくる
・虫などに刺されたけど、安全対策は万全なのか確認してくる

保育園で子どもが生活する上で、怪我はどうしてもつきものです。かすり傷や転けてしまってできた怪我などは100%回避することは不可能です。

今後も最新の注意を払っても怪我を回避することは難しく、不可能であることをしっかりとお伝えし理解してもらう必要があります。今後の保育園生活で怪我をする可能性があることを理解していただいた上で、未然に防げなかったことは事実ですのでその点について謝罪するようにしましょう。

子ども同士でのトラブルに対するクレーム

子ども同士の衝突は悪いことではなく、人とぶつかる経験をして成長していくことから大切なことであると言えます。しかし保護者の中には我が子を傷つけられたと怒りが収まらず、クレームへと繋がるケースも少なくありません。

  • ・子ども同士の喧嘩なのに、いじめられたと非難してくる
  • 全ての子ども同士のトラブルは相手の子どもが悪いと一方的に決めつける
  • 直接相手の子どもを叱りにいくので相手の子どもを教えて欲しいと言う

子ども同士のトラブルはどちらかだけが一方的に悪い、と言うことはあまりありません。お互いに何かしらの原因があるものです。ですので納得してもらえるまでトラブル(喧嘩)の原因をお伝えする必要性があります。理解してもらった上で、子ども同士のトラブルをもう少しだけ早く仲裁しに入ればよかったという点について謝罪をおこなうようにしましょう。

行事やイベント、保育園生活に対するクレーム

保育園生活での運動会や遊戯会などの行事ごとでもクレームはよく発生するものです。代表的なクレームについてご紹介いたします。

  • 遊戯会での子どもの配役に納得がいかない。変更してほしい
  • 給食で、子どもの嫌いな食べ物を抜いて提供して欲しい

行事などの配役や係などについてのクレームに対して一番大切なことは子どもが納得しているかどうかです。子どもが納得し、担当していることを保護者にしっかりと伝え理解してもらいましょう。また保育園生活は集団行動を学ぶ場でもあります。好き嫌いを一人一人に対応できないことも理解してもらいましょう。

保育士の姿勢や態度、指導に対するクレーム

保育士の話し方や子どもと接する姿勢、また子どもに対する指導方法など保育園の対応や保育士に対する態度もクレームの対象となります。

  • 保育園に対する要望を伝えたが、軽く保育士に流された
  • 相談したことを放置され、その後の進捗などの連絡がない
  • 気になったことに対して質問しただけなのに全て言い訳で回答された

上記のように、保育士が保護者、子どもに対して向き合ってくれていないからクレームとなる場合もあります。

保護者の一方的な意見や腰部、理不尽な言いがかりなどももちろんありますが、対応の仕方を間違えてしまうと大きなトラブルとなる可能性があります。また保育士の態度や言い方によって、保護者の態度も変化することが多いです。全ての保護者に対してモンスター化してしまっていると思い込まないようにしましょう。

保護者はなぜクレームを入れるの?どういう心情なの?

保育園へのクレームは近年増えています。しかしクレームといっても、理不尽な言いがかりなどを言う「モンスターペアレント」と呼ばれる方からのものもあれば、貴重な保護者からの意見という場合もあります。では何故、保護者の方々はなぜクレームを入れるのでしょうか。近年の大きな主な理由は下記の2つです。

共働きにより、余裕をもつことができない

夫婦共働きを選択している家族は年々増加傾向にあります。夫婦共に仕事と、家事や育児といったプライベートとの両立が上手くいかず悩んでいる場合は多く、そのストレスを保育園側にぶつけてしまうというケースがあります。

そして保育園を「サービス」として捉えている保護者の方も多いです。保育園というサービスを利用しているのだから、保育士に対して完璧なサービスを我が子に提供してほしい。と求める場合も少なくありません。仕事に追われ、心に余裕をもつことができない。もしくは育児に対して消極的な保護者の方に見られる傾向があります。

核家族化による、子育て相談相手の少なさ

実家から離れ、都市部で子育てをする家庭は非常に増えてきており、子どものいない家庭や子どもが一人だけの家庭。見込んで子どもがいる家庭など様々な環境での「核家族」が増加しています。

そのため実家や義実家との繋がりが薄く、またご近所や地域での繋がりもあまりないため、「子育ての相談相手がいない」と悩んでしまう保護者の方も多いのが現状です。

子育ての相談ができないために育児でのストレスが溜まり、保育士に対して感情的になってしまうことも少なくありません。子育てをしながら正解が分からないことへの不安と孤立感から、些細なことに対しても気になって伝えたくなる傾向があります。

現代の「家庭」での育児環境は昔とは違い、変化していることを理解し忘れないことがとても大切です。

保育士さんが保護者のクレーム対応する際のポイント

保護者の方からのクレームに対応する際に大切なことは、次の5点です。

  1. 話をよく聞き、保護者の本当の声を理解する
  2. 周りに相談する
  3. 冷静に対応する
  4. 事実確認を行った上で必要に応じて謝罪する
  5. 日々のコミュニケーションを強化する

各項目のポイントをチェックしていきましょう。

話をよく聞き、保護者の本当の声を理解する

まず保護者の方の話をしっかりとよく聞きましょう。そしてその上で保護者が本当に求めていることや、考えていること、どのような思いをしているのかを理解する必要があります。
ただ話を聞いてほしいのか。それとも怒っているのか、悲しいのか、理解してほしいのか。
保護者の本当に求めていることを理解するためにも、しっかりと話を聞き受け止める必要があります。

周りに相談する

自分一人で解決できる場合もありますが、「保護者のかたにどのような声をかけたり、解決に導くべきなのか分からない」と悩むことも多々あるかと思います。無理に自分だけで抱え解決しようとしても、保護者との関係が悪化し拗れてしまう可能性もあります。職場の仲間に相談することで、情報を共有することで適切な対策方法を見つけることができますので、周りに頼ることを忘れないようにしましょう。

冷静に対応する

保護者の方の中には、話をしている中で感情的なまま意見をぶつけてくる方もいらっしゃいます。とてもしんどいことですが、保育士が一緒になって感情的になってしまうと一方通行のままで何も解決しません。保護者が本当に伝えたいことは何なのか聞きながらまとめ、どのような対応が最善かを冷静に判断する必要があります。冷静に話を聞きながら、誠実な態度で対応をしていくと保護者の感情も収まりやすいです。

事実確認を行った上で必要に応じて謝罪する

子ども同士のトラブルや保護者の方との行き違いがあった場合は事実確認をおこなった上で、必要に応じて謝罪するようにしましょう。特に子ども同士のトラブルの場合大切なことは「どちらが悪い」ではなく、トラブルの経緯、双方の子どもの気持ちを確認して保護者の方に公平に伝えることです。

日々のコミュニケーションを強化する

保護者と話せる場面で、積極的に世間話や子どもの様子などを話すようにしましょう。保護者との日々のちょっとしたコミュニケーションを取るかどうかで、些細な行き違いやトラブルを未然に防ぐことができます。保護者の方からすると話をしてくれることは、自分や我が子を大切にしてくれているという意識が芽生えやすく、信頼関係を築きやすくなります。

まとめ

保護者の方からのクレームは、理不尽な内容なものも存在しています。しかしそのクレームの背景には「相談したいけどできない」「話を聞いて欲しい」と言う背景があるのも事実です。クレームは、しっかりと話をよく聞き冷静に対応することが非常に大切です。

また自分一人で抱え込むのではなく、同じ職場の保育士に相談し解決を目指しましょう。そして日々、保護者の方とのコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築くことも大切です。