ぼくにできること

はじめに


涙あり、笑いあり。子どもには新鮮な感動、おとなにはなつかしさがあふれる、良質な児童文学「ぼくにできること」。

周りの大人が皆眉をひそめるほどのわんぱく坊主、リュウちゃん。いたずらや探検を繰り広げる中で、さまざまな出来事に遭遇します。それはいじめであったり怪我や病気であったり、時には命がけの冒険に発展することも。けれどもリュウちゃんは負けません。持ち前のユーモアと明るさ、そしてその負けん気で、立ちはだかる問題をバッタバッタとなぎ倒して行きます。

この「ぼくにできること」は、難病のデュシェンヌ型筋ジストロフィーにより全身が動かず発声もできない著者の土屋竜一が、幼かった2人の我が子に昔語りができないかわりに書き続けて来たものです。ストーリーは全10話からなり、自らが幼少時に経験したあれこれを基に、主人公リュウちゃんのいたずらや冒険がいきいきと、ロマンたっぷりに描かれています。

挿絵は気鋭のイラストレーター、Mariya Suzuki。やわらかで繊細な筆致によるノスタルジックなイラストが、わんぱくなリュウちゃんが活躍する「ぼくにできること」の世界に彩を与えています。

解説は多数の詩集を発表している詩人の谷郁雄。「生活の過程で詩が生まれてくる」という観点から「ぼくにできること」に収録されている10のストーリーを優しく、共感を以て分析しています。